自然を満喫できると人気の登山や新しい発見・散策が人気の街歩き・ウォーキングですが、いざ始めようと思っても、どこを歩いたら良いのか迷うことはないでしょうか。
静岡県東部地区でおすすめのウォーキングコースは、伊豆の国市-歴史散策コースになります。
静岡県で2つの世界文化遺産(富士山と韮山反射炉)が同時に楽しめる歴史文化財ウォークです。NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」北条義時ゆかりの地を巡る歴史散策でもあります。
初心者(〜初中級者)や中高年の方にも最適な、気持ちの良いウォーキングコースを紹介します。
室町時代から江戸末期に至る歴史を垣間見ることができます。歴史好きの方にもおすすめです。
- 世界遺産や歴史文化財が楽しめる静岡県でおすすめのウォーキングコースがわかる
- 伊豆の国市-歴史散策ウォーキングコースの特徴、見どころ、グルメスポットがわかる
- 体力や目的に応じて、おすすめアレンジコースも紹介
それではいってみます。
伊豆の国市-歴史散策ウォーキングコースの概要
まずは、対象コースに関する基本情報は以下になります。
- エリア:静岡県函南町、伊豆の国市
- コース概要:
1)JR函南駅→(約30分)→2)天地神社→(約1時間)→3)国清寺→(約50分)4)江川邸→(約40分)→5)韮山反射炉→(約30分)→6)真珠院→(約10分)→7)願成就院→(約20分)→8)北条氏邸跡→(30分)→(8)韮山時代劇場(伊豆箱根鉄道韮山駅) - 難易度:体力 ★★★☆☆ 、技術 ★☆☆☆☆ 、危険 ★☆☆☆☆
- 歩行時間:4.5時間
- 距離:20km、標高差58m(ほぼ平坦)
- 歩数*):28,169歩
- 消費カロリー:1546kcal
- 路面:ほぼ舗装道路
- おすすめの季節:四季問わず楽しめます。
- 交通機関(アクセス):
【行き】JR函南駅
【帰り】伊豆箱根鉄道駿豆線 韮山駅
【車】鉄道が列車の本数も多く便利です。車で行かれる場合は、柏谷公園駐車場(無料140台)、韮山時代劇場(韮山文化センター駐車場(無料150台)、もしくは周辺駐車場が利用できます。
*)歩数は、1歩71cmで歩数を算出しています。
(日本人女性の平均身長は158cm、歩数の計算方法は身長×0.45なので、158cm×0.45=71.1cm)
■地図情報
地図上での位置や標高は次のとおりです(青線がルートです。拡大もできます)。
周辺情報がわかるグーグルマップはこちら。
伊豆の国市-歴史散策コースの特徴・見どころ・グルメスポット
■のどかな田園地帯を通りながらまじかに富士山を眺める
1)JR函南駅(Start)-天地神社 (約30分)
スタートは、「JR函南駅」。函南駅から緩やかに下っていき、平坦な道行となります。歴史ロマンを期待しながら広い田方平野の中を、のどかな田園風景や随所に顔を出す富士山を感じながらのウォーキングです。
まず立ち寄るのが、県天然記念物の大クスノキがある「天地神社」。天地の恵みに感謝する神社です。
2)天地神社-国清寺(柏谷古墳群・かんなみ桜) (約1時間)
「天地神社」を抜けると、国清寺を目指しますが、途中に「柏谷公園」がありここで小休憩。トイレも完備されてます。なお公園北側の丘陵部には国史跡の「柏谷横穴群」があります。
柏谷横穴古墳群は、古墳時代後期の横穴古墳群で、丘陵斜面を掘って墓室を作っています。「柏谷の百穴」とも呼ばれ、確認されているだけで、300基に及びます。一見の価値ありです。
その後、早咲きの「河津桜」が植栽されている「柿沢川」の堤の上を歩き、川を渡って奈古谷(伊豆畑毛温泉)の集落に入ります。函南の新名所として注目を浴びているのが、この「かんなみ桜」で、約410本の「河津桜」が富士山と一緒に楽しめます。桜の開花時期は、一般的な桜「そめいよしの」よりも早く、2月初旬から3月初めとのことです。桜満開の季節に是非訪れてみたいですね。
田園地帯を抜けて「国清寺」に立ち寄ります。「国清寺」は、室町時代には「関東十刹」に数えられた名刹で、杉並木の中にひっそりとたたずんでいます。
■幕末期に活躍した江川英龍の偉業を感嘆(江川邸、韮山反射炉)
3)国清寺-江川邸 (約50分)
「国清寺」から重要文化財の「江川邸」を目指します。江川家で有名なのは幕末激動期にその才を発揮した36代目当主 江川英龍(ひでたつ;号は担庵)。英龍は、江戸幕府の旗本・代官を務めながら、工学、医学、文学、芸術など、さまざまな分野で多彩な才能を見せました。「uomo universale(万能人・普遍人)」の異名で知られているレオナルド・ダ・ヴィンチように「万能人」といえる業績を残しています。
業績は、この後の「韮山反射炉(大砲鋳造)」など西洋砲術の導入、「東京品川沖の台場(砲台)築造」、洋式艦船、農兵の組織化など多くあるようです。兵糧食の保存のきく硬いパン(パン祖)もそのようです。パンを焼いた当時の竈(かまど)も現存されています。
築400年とされる木組の高い天井がみごとな主屋も必見です。
『勝海舟が絶賛し、福沢諭吉も憧れた 幕末の知られざる巨人 江川英龍 』は、こちらをチェック👇
4)江川邸-韮山反射炉(韮山城跡・伊豆の蛭ヶ小島) (約40分)
江川邸から「城池親水公園」を通って「韮山城跡」に向かいます。韮山城は室町後期から戦国にかけての平山城。北条早雲が、関東攻略の拠点とし、小田原に移った後も後北条氏の伊豆支配の中心。「龍城」とも呼ばれています。
ハイキング気分で山道を登った小高い本丸跡からの富士山は絶景で、県立韮山高校の生徒が校庭でサッカーをする様子を遠く眺めながら休憩です。ここでお弁当の昼食ランチも良いです。
続いて、「韮山城跡」から「韮山反射炉」に向かう途中で寄りたいのが、平家に敗れた源氏の後継者・源頼朝が流罪(いわゆる島流し)となった地「伊豆の蛭ヶ小島(蛭ヶ島(ひるがしま)公園)」になります。
頼朝はここで約20年過ごし、打倒平家の足掛かりを築き、北条氏の協力を得て旗揚げをします。妻・北条政子との出会いや八重姫との悲恋などさまざまな物語を生んでいます。富士山を眺める頼朝と政子の像も歴史ロマンを感じさせます。
NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」北条義時(小栗 旬が演じる)ゆかりの地になります。(ちなみに、源 頼朝は大泉 洋、北条政子は小池栄子が演じていました。)
「鎌倉殿の13人」をもう少し知りたい場合は、こちらをチェック👇
「韮山城」を築城したのは、一代にして伊豆・相模を領する大名にのし上がった風雲児「北条早雲」。もっと知りたい方は、「北条早雲1-青雲飛翔篇」こちらをチェック👇
南下して、いよいよ世界遺産「韮山反射炉」を目指します。
5)韮山反射炉-真珠院 (約30分)
「韮山反射炉」は、4炉が2つずつL字型に配置された高さ16mほどの反射炉になります。2015年に「明治日本の産業革命遺産」としてUNESCO世界遺産登録がなされています。
反射炉とは、金属を溶かし大砲などを鋳造するための溶解炉。幕末期の代官江川英龍(坦庵)が手がけ、後を継いだその子英敏が完成させました。韮山反射炉は、実際に稼働した反射炉として国内で唯一現存するもののようです。
溶解炉は千数百度もの高温が必要なため溶解炉の天井をドーム型にして炎や熱を反射させて高温を得る仕組みです。外側には伊豆石、内部の耐火煉瓦は天城山産出の土を使っています。外側の目立つ鉄枠は、耐震や耐風のため後から加えたもののようです。
令和3年11月に約1年かけた大規模な補修工事(保存修理工事)が無事完了して、リニューアルオープンされました。周辺施設も新しく、まだ見ていないよというあなた是非オススメです。
「ラストサムライの挑戦! 技術立国ニッポンはここから始まった! 明治日本の産業革命遺産」は、こちらをチェック👇
韮山反射炉から先は、伊豆箱根鉄道駿豆線、国道136号線を横切り、伊豆長岡駅をすぎた狩野川に程近い「真珠院」を訪れます。
■源頼朝と北条政子ゆかりの寺をめぐる
6)真珠院-願成就院 (約10分)
「真珠院」は、頼朝と八重姫の悲恋が伝わっています。八重姫は伊藤に拠点を置く伊藤祐親(すけちか)の娘(大河ドラマ「鎌倉殿の13人」では新垣結衣が演じています)。
八重姫は頼朝と恋に落ち、一子(千鶴丸)をもうけるが、「平家でなければ人でなし」平家全盛の時代。その威光を恐れた父祐親は、一子を亡きものとします。八重姫は悲嘆・絶望して入水し、生を断ちます。
「真珠院」には「八重姫御堂(静堂(しずかどう))」があり、はしごが収められています。「はしごがあれば八重姫を助けられた」ということで、願い事がかなったお礼に、はしごを奉納するようになったといわれています。
「鎌倉殿の13人」の関連書籍(原書)『吾妻鏡 』は、こちらをチェック👇
7)願成就院-北条氏邸跡 (約20分)
源頼朝を支え、執権などとして鎌倉幕府の実権を握る北条氏ゆかり「願成就院(がんじょうじゅいん)」も訪れてみます。尼将軍・政子の父で初代執権時政が、奥州藤原氏討伐を祈願しての建立。鎌倉時代の仏像彫刻の第一人者・運慶作の武士の時代を象徴する隆々たる5体の国宝があります。阿彌陀如来坐像、不動明王・矜羯羅童子・制吒迦童子三尊立像に毘沙門天立像。
なお、境内には北条時政の墓もあり見学できます。
ちなみに、火曜日と水曜日は休館日(祝日除く)で、国宝の拝観はできません(境内の見学は可能)。
8)北条氏邸跡-韮山時代劇場(伊豆箱根鉄道韮山駅)(Goal) (約30分)
「願成就院」から少し足を延ばして、「北条氏邸跡」も訪れてみます。途中で、「北条政子産湯の井戸」を見学しつつ、「史跡北条氏邸跡(円成寺跡)」に向かいます。発掘調査によって、平安時代末から鎌倉時代前半にかけての北条氏の掘立柱建物や塀の跡、井戸、区画のための溝などが見つかっています。北条氏滅亡後は、ゆかりの尼僧により一族を鎮魂する円成寺が建てられました。
「北條氏邸跡」の向かいには狩野川が流れています。八重姫が川越しに頼朝の様子をうかがうシーンが大河ドラマでありましたが、まさにあの川の向こうから見つめていたのかなと歴史ロマンを感じます。
ゴールの「韮山時代劇場(韮山文化センター内)」は、「伊豆箱根鉄道駿豆線韮山駅」のすぐそばにあります。以前は韮山時代劇場で 「鎌倉殿の13人」 伊豆の国 大河ドラマ館 を開催していました。
「鎌倉殿の13人」の世界観や、衣装・小道具、シアター映像(市内ロケを中心としたメイキング映像他)、フォトスポット、出演者のサインコーナーなどなど、2022年NHK大河ドラマがより楽しくなるための見どころが満載でした。(館内は一部を除いて写真撮影可でした。)
戦国武将も憧れた「平家物語」。現代語訳や登場人物ほかの解説もわかりやすいと評判の本は、こちらをチェック👇
『松村邦洋「鎌倉殿の13人」を語る』も注目本です。こちらをチェック👇
伊豆の国市-歴史文化財ウォークのおすすめアレンジコース
見どころスポットが近隣に点在しているので、体力や目的・興味に応じてコースアレンジは可能です。
『【厳選3】静岡県でおすすめのウォーキングコース〜伊豆の国市-歴史散策〜』 まとめ
静岡県在住30年以上の筆者が厳選する、静岡県のおすすめウォーキングコース第三弾は、2つの世界文化遺産(富士山と韮山反射炉)が同時に楽しめる歴史文化財ウォーク『伊豆の国市 歴史散策コース』としました。
静岡県やその周辺の地域、伊豆や箱根、富士山周辺は、首都圏からも近く、訪れやすい地域と思います。東京近郊で日帰りも可能です。
函南町・伊豆の国市(韮山・伊豆長岡)は年中温暖な気候で、春夏秋冬様々な季節が楽しめるおすすめな場所になります。是非都合をつけて訪れてみてください。
今後もおすすめのウォーキングコースや山歩きコースを順次ご紹介していきたいと思います。
これからウォーキングにトライしようとしている初心者の方で、ウォーキングの服装やグッズ選びで悩んでいる方は、是非以下の記事を参考にしてみてください。
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。
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