自然を満喫できると人気の登山や新しい発見・散策が人気の街歩き・ウォーキングですが、いざ始めようと思っても、どこを歩いたら良いのか迷うことはないでしょうか。
静岡県でおすすめのウォーキングコース第9弾は、難所の宇津ノ谷峠越え「蔦の細道ウォーク」としました。JR安倍川駅から丸子宿に入り、古道として有名な「蔦の細道」を歩き、宇津ノ谷峠の「明治のトンネル」を通って岡部宿の「大旅籠 柏屋」までの歴史を堪能できるコースになります。
旅人も愛した丸子宿名物とろろ汁「丁子屋」や、3つの時代(平安・江戸・明治)をまたぐ宇津ノ谷峠を歩く歴史散策コースで、特に「蔦の細道」は古道の趣のある登山道でその情緒も楽しめます。
- 静岡県(静岡市)でおすすめのウォーキングコース「蔦の細道・宇津ノ谷峠」がわかる
- 「蔦の細道ウォーク」ルートの特徴、見どころ、グルメスポット(観光・立ち寄り)がわかる
- 体力や目的に応じて、おすすめアレンジコースも紹介
それではいってみます。
「蔦の細道ウォーク」 ウォーキングコースの概要
まずは、「つたの細道ウォーク」 ウォーキングルートに関する基本情報は以下になります。
- エリア:静岡県静岡市・藤枝市
- コース概要:
1)JR安倍川駅(Start)→(約1時間)→2)丁子屋→(約1時間)→3)道の駅「宇津ノ谷峠」→(約50分)→4)つたの細道公園→(約40分)5)宇津ノ谷集落(明治のトンネル)→(約1時間)→5)大旅籠 柏屋(Goal) - 難易度:体力 ★★☆☆☆ 、技術 ★☆☆☆☆ 、危険 ★☆☆☆☆
- 歩行時間:4時間30分
- 距離:13km、標高差189m
- 歩数*):18,310歩
- 消費カロリー:1,303kcal
- 交通機関(アクセス):
【電車・バス】行き;JR安倍川駅。帰り;JR藤枝駅へは、「岡部宿柏屋前」からしずてつジャストライン中部国道線で約25分
【車】道の駅「宇津ノ谷峠」(静岡側・藤枝側に個々)。「つたの細道公園」には無料駐車場(30台程度)あります。「明治のトンネル駐車場」にも無料駐車場(5台程度)。
*)歩数は、1歩71cmで歩数を算出しています。
(日本人女性の平均身長は158cm、歩数の計算方法は身長×0.45なので、158cm×0.45=71.1cm)
■地図情報
地図上での位置や標高は次のとおりです(青線がルートです。拡大もできます)。
周辺情報がわかるグーグルマップはこちら。右上の□クリックで拡大もできます。
「蔦の細道ウォーク」特徴・見どころ・グルメスポット
■旅人も愛した丸子宿名物「とろろ汁」
1)JR安倍川駅(Start)-道の駅「宇津ノ谷峠」(約2時間)
JR安倍川駅の西口をスタートとして、丁子屋、道の駅「宇津ノ谷峠」に向かいます。まずは西に進み丸子川を目指します。丸子川の堤は「太平洋岸自転車道」になっており、川沿いに上流に緩やかに登っていきます。
丸子川を左手に眺めながら進むと、途中桜や花々があります。訪問時はすでに葉桜の緑香る季節になっていましたが、桜のころは桜と清流でこれもまた風情がありそうです。
しばらく進むと対岸に、背後に山が迫る「谷津神社」が見えてきます。社殿の脇に推定樹齢1000年、幹廻り6.1m、樹高34mの大きなクスノキがそびえています。
さらに先には旧東海道の丸子(まりこ)宿に着きます。江戸時代、本宿1、脇本宿2、旅籠24軒と比較的小さな宿場でした。川沿いの堤と旧東海道が交差する場所に、からぶき屋根の「丁子屋」があります。丸子名物とろろ汁でよく知られる食事処です。
「丁子屋」は、慶長元年(1596)創業という老舗で、「歌川広重」の『東海道五十三次 鞠子 名物茶屋』にも描かれています。「東海道五十三次 鞠子」の様子(のれん)は、こちらでチェック👇
「東海道五十三次 鞠子」の当時の生活の様子、葛飾北斎(タオル)は、こちらでチェック👇
松尾芭蕉は「梅若菜鞠子の宿のとろろ汁」と詠み、十返舎一句の『東海道中膝栗毛』にもとろろ汁が登場します。
読みやすい現代語訳版『東海道中膝栗毛 21世紀版少年少女古典文学館』は、こちらをチェック👇
丸子川に架かる橋のたもとにある「高札場跡」から、再び川沿いを進むと国道一号線バイパスに出ます。歩車分離の歩道をしばらく行くと、道の駅「宇津ノ谷峠」に到着です。
■3つの時代をまたぐ宇津ノ谷峠
2)道の駅「宇津ノ谷峠」-つたの細道公園(約50分)
宇津ノ谷峠の3つの時代「平安」「江戸」「明治」の峠の中で、まず最初は、「平安」の「蔦の細道」を歩きます。
道の駅で一息入れたらいよいよ難所の山越えです。道の駅の敷地内に建つ案内板の脇に「蔦の細道」入口があります。平安時代から室町時代の後期まで東海道の官道として使われていた峠道になります。
小道に入るとほの暗い杉林の森になります。ところどころに苔むした石段があり、古道の雰囲気たっぷりです。結構な急坂を登りきると宇津ノ谷峠に出ます。標高210m、静岡市と藤枝市岡部町との境になります。
宇津ノ谷峠が世の中に広く知られるようになったのは、平安初期の歌物語『伊勢物語』といわれています。歌人の「在原業平」が詠んだ「駿河なる宇津の山べのうつつにも 夢にも人に逢はぬなりけり」があります。駿河国の宇津の山辺に来て、現実はおろか夢の中でさえ逢えない愛しい人を思った歌のようです。
NHK Eテレ「100分de名著」放送で話題となった、第48回泉鏡花文学賞受賞作品『小説伊勢物語 業平 高樹のぶ子(著)』は、こちらでチェック👇
峠から道標にしたがって一気に下ると「岡部口」にでます。本和田川沿いに下ると「つたの細道公園」に出ます。
3)つたの細道公園-宇津ノ谷集落(明治のトンネル)(約40分)
「つたの細道公園」はよく整備された公園で、ここから国道一号線を西に向かえばGoalの岡部宿に入りますが、今回は、コース趣旨に従い、2つめの峠(江戸)を歩くために、もう一度静岡側まで戻ります。公園入口の駐車場脇にある「旧東海道」の道標に従い峠道を登ります。
こちらはの「江戸の道」は、豊臣秀吉の小田原城攻めの大軍を通すために開いた道で、江戸時代の東海道のもとになっています。「蔦の細道」よりも道幅は広くゆるやかです。
江戸の宇津ノ谷峠の「地蔵堂跡」に立派な当時の石垣があります。詳しくは、『宇津ノ谷峠の地蔵伝説―日光から来た素麺地蔵』こちらをチェック👇
4)明治のトンネル(宇津ノ谷集落)-大旅籠柏屋(Goal)(約1時間)
切通しの「宇津ノ谷峠」(標高約160m)を越えて下ると、眼下に宇津ノ谷の集落(江戸時代に丸子宿と岡部宿の間にある宿「間宿(あいのしゅく)」)が一望できます。街道の面影のある集落を横目に道標に従い、3つ目の「明治のトンネル」を目指します。
3つ目は峠越えではなく、明治時代のトンネルを通って岡部側に戻ります。「明治のトンネル(明治宇津ノ谷隧道」は、レンガ造りのトンネルで全長203m、標高115mにあります。日本初の有料トンネルでもあります。トンネルの内部には現在でも風雅な灯りが燈されています。狭いトンネル内をほの暗い灯りの下歩くことで、明治時代の趣が体感できます。
明治のトンネルを越えると、国道一号線バイパスに出ます。山腹には昭和、平成の2本のトンネルが通っています。バイパス沿いにある藤枝市側の道の駅「宇津ノ谷峠」を横目に旧東海道をさらに進みます。
街道筋には岡部川が流れています。川に沿って歩くと岡部宿に着きます。江戸時代、本宿2、脇本陣2,旅籠27軒の宿でした。なかでも「柏屋」は、岡部宿を代表する大旅籠です。現在は貴重な歴史資料館になっています。またその隣には本陣跡、岡部宿公園もあります。
『東海道五十三次てくてく歩き』は、こちらでチェック👇
おつかれさまでした。
トンネル好きの方には、『しずおかの文化新書20 しずおかトンネル物語: ~ニッポンの大動脈をつらぬけ!』(どうしてそこにトンネルが開削されたのか、その時代背景などを掘り下げています。宇津ノ谷トンネルも記載があります。)は、こちらをチェック👇
静岡のお土産は、別記事でもまとめてご紹介しています。こちらをチェック👇
「蔦の細道ウォーク」おすすめアレンジコース
「つたの細道ウォーク」、体力や目的・興味に応じてコースアレンジは可能です。
『【厳選9】静岡県でおすすめのウォーキングコース〜蔦の細道ウォーク〜』まとめ
静岡県在住30年以上の筆者が厳選する、静岡県のおすすめウォーキングコース”第9弾”は、『蔦の細道ウォーク』としました。
静岡県やその周辺の地域、伊豆や箱根、富士山周辺は、首都圏からも近く、訪れやすい地域でしょう。東京近郊からでも日帰り圏内です。
「静岡市・藤枝市」周辺は本当に気候が温暖で、春夏秋冬様々な季節が楽しめるおすすめな場所になります。是非都合をつけて訪れてみてください。
今後もおすすめのウォーキングコースや山歩きコースを順次ご紹介していきたいと思います。
ウォーキングの服装やグッズ選びで悩んでいる方は、是非以下の記事を参考にしてみてください。こちらをチェック👇
最後まで読んでいただきまして、ありがとうございました。
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